意味の成さない呼称と、その音。
『勉強するキミと、勉強しないボク。』
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あいつはいつも勉強している。
何が楽しくてあんなに勉強するんだろう。
「なー、サッカーしに行こうぜ!」
もしかしたらあいつはイヤイヤ勉強しているのかもしれない。
もしかしたら僕たちと一緒にサッカーをしたいのかもしれない。
「ごめん。今日は塾でテストがあるから」
いやいや、塾って!
習い事まで勉強とか頭おかしいんじゃねえの!?
「そっかー。勉強がんばれよ!」
「ありがとう。サッカー楽しんでね」
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あいつが放課中も勉強しているのは
もういつもの景色だ。
あいつの席の周りだけ人がいないから
その席だけ余計に目立つ。
僕の周りには、たくさん人がいる。
クラスで1番モテる子も、クラスで1番面白いやつも。
野球部のエースも、サッカー部のキャプテンも。
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授業中、急に先生に名前を呼ばれた。
訳してみろ?分かるわけがない。
だって僕、海外とか行かないし。
死ぬまで日本で生活するし。
僕の代わりに、あいつがあたった。
あいつも少し苦戦していた。
なら僕に分かるわけがないだろアホか先生は。
あいつの机の上には
誰よりも消しかすがあるのを僕は知っている。
僕の机の上には、落書きがある。
僕の周りの奴らが勝手に書いた落書きだ。
あいつは僕の机の上の落書きを知らない。
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また体力テストで賞状をもらった。
体育館で全員の名前呼ばれるのは恥ずかしいから勘弁してほしい。
校長、今日は僕の名前を呼び間違えるなよ。
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今日は体育があるから、学校に行きたくない。
また彼がみんなの中心で、みんなは彼の元に行く。
俺は勉強だけが友だち。
勉強すれば、点数は勝手についてくる。
点数だけが、俺を認めてくれる。
急いで着替えて、放課中にサッカーしようぜ
なんとなくそんな声が聞こえる。
でも俺は、その声に反応しちゃいけない。
聞こえないふり。知らないふり。
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僕は別に運動も好きじゃない。
でも他の奴らよりも運動できるから
みんなが勝手に僕のところにくる。
「今からの放課は、庭で遊ぶぞ。みんなついてこい!」
ほんとは教室にいたいんだけど。
さっきあいつが、勉強がんばってたから
邪魔したくないと思った。
「さっさと行くぞ!」
こうして僕は、外で遊ぶ。
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俺は今、彼と勉強している。
僕は今、あいつに勉強を教わっている。
誰かとする勉強も、楽しい。
意外と勉強って、楽しい。
ありがとう。
ありがとう。
また一緒に勉強しようね。
また一緒に勉強しような。
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