『戻らない感性』
僕のことを好きだと言ってくれる人は、何人かいた。
高校の一緒のクラスだった、運動部と文化部を兼部していた子。
誰にでも明るくて、クラスの女子の中心でありながら、比較的静かな子たちとも分け隔てなく対等に話していた。
何かに真剣に取り組んでいる時の顔が素敵だった人。
1つ年上の上の先輩。
先生達から信頼されていて、学校の中心人物だった。先輩として尊敬できる人が、僕のことを好きと言ってくれたのは嬉しかった。帰りのバスで、真面目に話し合ったこともあるし、くだらない話で笑い合ったりもした。背が小さいところがなんとも可愛いらしかった。
1つ年下の子。なんとなく顔は知っていたけれど、あんまり話したことはなかった。
笑ったときに、顔がくしゃってなる。年下だったから普段は敬語使ってくるのに、たまにタメ口で僕のことをからかってくる。彼女の描く絵はなんでも可愛く見えた。
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誰かに愛される度に、僕は辛くなる。
誰かが好きと言ってくれる度に、僕は泣きたくなる。
こんなにも僕のことを思ってくれるのに
僕はその人のことを、なんとも思えない。
だから僕はいつもウソをつく。
感情のない文字列に、あたかも感情がある様に
本当であるかの様に文字列を口にする。
現実で行う恋愛シミュレーションゲームみたいだった。僕なんかが主人公じゃ、そのゲームは駄作だと思うけど。
どれだけ愛されても、愛を感じても
僕が誰かを愛することは、やっぱりなかった。
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あ、登場人物は架空の存在です。
これからもう少し書いていきます。