『かけがえのない今、この瞬間を』
よくある話だ。
友達と遊んでいた方が楽しいとか
今は仕事が恋人だとか
恋愛なんか今は考えられないとか
この類の、よくある話だった。
恋人が居るメリットなんて、せいぜい恋愛目的で近寄ってくる人がいなくなることと、自分の欲求を満たすことが出来ることぐらいだろう。
デメリットなんていくらでも思いつく。
デートの約束、記念日、プレゼント、
サプライズ、独占欲、嫉妬、自己否定、
恋愛しない理由はいくらでも思いつくし
僕はきっとこうして、誰かを愛することなく
ある程度打ち込めることがあって、ある程度幸せに生き続けるんだろうと思った。きっとこの生活が、死ぬまで続くんだろうと感じてた。
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たった一人の女性との出会いが
僕の全ての考えを見事に打ち壊した。
その人は、言ってしまえば
どこにでもいるような人だった。
普段から僕が関わっているような人たちとは
生活面でも態度面でも、大きな違いがあった。
なのになんでだろう。
気が付けば、彼女のことを考えている自分がいた。
そこから僕の生活は、大きくは変わる訳ではない。
でも確かに、これまでとは違う生活になっていった。
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喜んでる顔を想像して嬉しい気持ちになる。
誰かのために使う時間を、幸せだと感じたことはなかった。
悲しんでる顔を想像して、悲しくなる。
絶対に悲しませたくない人だと、悲しませることはしたくないと強く決意した。
怒った顔すらも、愛おしく思う。
泣いていたら、側に居続けようと思う。
自分のことばかり考えて生きていた僕が
気がつけば誰かのことばかり考えている。
何に対しても論理を求めて、それが破綻していたら許すことができなかった僕が
なぜこんなにも彼女を愛しているのかに論理的な理由付けができない。
愛している理由は分からない。
でも、愛しているのだ。
誰かのことを想って、
こんなにも幸せになることが出来るんだと
僕は生まれて初めて気付くことができた。
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怖いな、と思う。
想像するだけで、恐ろしいなと感じる。
大切な存在が目の前からいなくなること。
いなくなってしまうくらいなら
最初から大切に思わなければいいんだと思う。
いつか突然、急にいなくなる。
これまで過ごした時間が、まるで嘘だったかのように。
僕は別れの瞬間が怖くて仕方ない。
大切な人を失うことが恐ろしくて仕方ない。
ああ、でもそうか。
僕の前から君がいなくなるのは
別にすぐじゃない。
もしかしたら明日かもしれないけど
今日ではないかもしれない。
じゃあ、「今この瞬間」を世界中の誰よりも
大切にしようと思う。
失って初めて気付くなんて、もう散々だ。
いなくなって初めて大切さに気付けるようじゃ全てが遅すぎる。
僕は、今日この瞬間という
1秒たりとも戻りえない、この流れゆく一瞬を、その全てを大切にしよう。
彼女の笑顔を一番近くで見られる。
それだけで世界一幸せではないか。
彼女の泣き顔を一番近くで
涙を拭いてあげることができる。
こんなに幸せなことはない。
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誰かにとっては、今日が出会いの日だろう。
誰かにとっては、今日が別れの日かもしれない。
頭の良さも運動神経も身長も顔の良さも
平等なんてあるわけがない。人間を創造した神とやらは残酷だ。
でも、1つだけ神は平等にした。
誰もに平等なもの。
それは、「与えられた時間」だ。
今この時この瞬間、同じ時間を
場所は違えど、誰もが過ごしている。
僕は大切な人にあなたが大切だと
今この瞬間、伝えよう。
これからも伝え続けよう。
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後になって、失ってから気付くことが無いように。
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